学校経営コンサルティング

少子化が進んでおり、定員割れになっている学校や合併する学校などのニュースを聞くことが多くなりました。今回は、企業診断2007年5月号の「学校経営コンサルティング(生き残りをかけた取り組みを、どう支援するか)」という記事を引用しながら学校経営コンサルについて考えてみたいと思います。


「経営能力に限界があっても、Going Concern(継続的企業体)として存続することが出来ていた。しかし、今日では少子化をはじめとして、いじめ、自殺、学級崩壊、高度な教育行政など、激変する環境変化の中で、Goodwill(名声や職員の協働意思など)を完璧に理解し、生徒、父母などの各種ステークホルダーの期待や要求に真摯に応えられる経営者のみが生き残れる、厳しい時代になっている。」

ドラッカーの「既に起こった未来を予測する」という言葉に一番敏感でなければいけなかったのが学校かも知れない。出生率の低下の影響が、小学校の施設に対して表れるのは、わずか5、6年後である。本当にそれは起こるし、予測しやすい。

人が減る ⇒ 選ばれる学校になる必要がある

選ばれる学校になるためには、学校経営者の経営理念とビジョンがたっており、共有出来ていることが第一歩です。これは、企業経営と共通ですね。
仮に成長戦略を合併の例で考えてみても以下の4つの方向性が考えられます。
 (1)浸透連携 専門性を高める
    (例:同じA科のあるB高校とC高校の合併)
 (2)横連携 学部を増やして総合学校を目指す
    (例:A大学とB大学の合併)
 (3)縦連携 学校のワンストップ化
    (例:A高校とB大学の合併)
 (4)多角連携 ビジネススクールなどの展開
    (例:企業の教育機関や通信教育など別形態との合併)
どの方向にすすむのか。経営理念とビジョンがあれば、その意思決定は明確ですね。

また、記事を参考に、
・学年を横割りとし、学部を縦割りとするマトリックス組織と考えてみる。
・科目や学部毎の財務分析により、各科目や各学部をSBUに見立てPPMに配置して考えてみる。
・AIDMAモデルを意識してホームページを作ってみる。
など、企業経営コンサルの発想で学校経営コンサルを考えていくことが出来そうな感じがします。

事例にある成立学園は、いち早く学園改革に取り組み、環境変化に素早く対応することで、業界人から“奇跡”といわれるほどの効果をもたらし、大学進学実績も劇的に変化したそうです。事例のような学校が増えてくることは、学校経営の改革の促進につながり、学校業界全体の底上げ、日本の未来の成長に大きく貢献することでしょう。

定員割れの大学がH18年には550校のうち、222校もあり40.4%を占めています。確かに人数が減っているのでそのままではすべての大学が残ることは出来ません。しかし、今回の記事の本質ではないかもしれないですが、社会人や団塊世代を対象としたスクールの展開など可能性は残されています。
企業経営コンサルタントが企業経営のノウハウを軸として、改革の本質を助言できるような、ネットワーク作りをして、情報の収集に努めるなど学校業界を知り、改革に参画していくことはとても有益なことであろうと思います。

参考文献:「企業診断2007年5月号」 同友館

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経営・ビジネス | コメント(8) | トラックバック(0)2007/04/28(土)23:36

コメント

学校経営コンサル実践とは

お久しぶりにコメントいたします。
私の勤務する会社では、大学、高校の図書館パッケージでマーケットシェアが高く、学校への新規事業開発へのアプローチを当部門で対応しております。

確かに本記事の通りだと思っております。

しかし実践の世界は、企業へのコンサル同様、簡単に民間企業のコンサルタントが診断できるほど、間口は広くありません。

それは、学校は教育をサービスとして生徒を市場としてみており且つ、先生方は教えるのは専門ですが、人から教わることになれてません。

それでも、学校経営に関するマーケットや経営情報の可視化のニーズは徐々にでてきてます。

これ以上は私どものコアコンピテンスとなりますので、情報は伏せますが、病院経営同様、学校経営にかんしても実践の世界では簡単に民間コンサルが参入できる領域ではない気がしております。

2007/04/29(日)19:53| URL | MitsuruAbe #- [ 編集]

可視化は改革につながる!!

いつもコメントありがとうございます。

おっしゃるとおり、参入するには、大きなハードルがありそうです。
今回、「企業診断」に取り上げられたように、「学校業界誌」あたりにアプローチすることが出来れば、支援してあげられるきっかけが出来るかなと思います。

経営診断というような感じではなく、改革したいという学校が、改革チームを作るとしたら、企業経営のコンサルが出来る人材をチームの中に一人でいいから入れる事は有効である。という想いなんです。

可視化は、数字がはっきりと出てくるので、ステークホルダーにいい状況を見せるためにも改革につながるいいアプローチだと思います。
うまく結びつけると面白いかもですね。また、状況を教えて下さい。

よろしくお願いします。

2007/04/30(月)08:47| URL | 新吉 #- [ 編集]

学校への対応についての考え方

大学を含む文教をコンサルする場合、一つだけ心がけが必要な事があります。

それは、ボランティア精神と学校への貢献意識です。

この精神と意識がありませんと付き合う事すら非常に厳しいのです。

学校の業界紙にも私の勤務先の企業は参加しており、関係者の会合なども行っているようです。
大学関係者との付き合いは必要です。

しかし改革意識はあるものの、クローズした関係者の中に参加するのは非常に困難です。

時に他の大学などで大きな成果がありませんと難しい領域です。

であれば、非常勤講師を将来するなどの社会人向けのコンサル講師としての講義を開くなどの学校関係者の当事者意識としてコンサルを行ったほうが良いでしょう!

あまり会社のようにターゲットやニーズといった分析は役に立ちませんので、その辺は注意したほうがよさそうです。

またあくまでもボランティア的なフィーだと思いますので、その辺の心がけは必要だと思います。

別に相当の余裕を持ってませんと難しい領域である事をお忘れなきようお願いします。

可視化ですが、ここは紹介は難しいので説明は別にいたします。

2007/05/01(火)20:07| URL | MitsuruAbe #- [ 編集]

強い業界を持とう!

実務からのアドバイスありがとうございました。
参考にさせて頂きます。

「企業経営コンサルのノウハウ」を軸に、その中で「得意な分野」を持つ。さらに「強い業界」を持つ。
そのマトリックスが交わったところが「得意なコンサル領域」と考えています。

私は「強い業界」を持っていないなあ・・・?模索中です。

コンサル仲間が集まり団体戦とすれば、「強い業界」の数は増えるし、「得意な分野」も増える。
補完し合う事により、出来ないと思えるような業界にも参入出来る!

特に学校業界は、団体戦が良さそうですね。

#話が脱線してしまいました、、、、

2007/05/02(水)06:22| URL | 新吉 #- [ 編集]

それでも、長期的には・・・

生まれて初めて、ブログに書き込みします。
さて、本件、MitsuruAbe さんのコメントによると、学校経営は閉鎖的かつ一般企業とは異なる特殊な業界であり、なかなか外部のコンサルを受けにくいとのことです。
おっしゃるとおりでしょう。
私は学校経営は素人ですが、その主旨は容易に想像できます。

ただし、今後は今以上に学生が減るので、中長期的には学校側もナリフリ構っていられなくなるのではないでしょうか?
保守的な学校側の意識も、具体的に何人かクビになれば変革せざるを得ないと思います。しかも、このペースでは近年中にそうした事例が噴出するのでは?(計算した訳ではありませんが)

思えばコンサルタントとは因果なもので、不況などで経営が悪化した企業が増えるほど、悪化の度合いが厳しくなるほど、本質的にはニーズが拡大します。
その中で、高度化した企業経営のノウハウを持つコンサルタントが、学校経営に手腕を発揮してとしても、私は驚きません。

昨今、営利を追及すべき私企業が”ビジョン”を重視し、ビジョンを実践すべき学校が”経営の継続性”も視野にいれはじめ、業界間の垣根が下がってきたとの認識を持ちました。

いずれにしろ、生徒数の減少を所与とするなら長期的には、
①他の学校にない、価値あるサービスを提供し、生徒をかき集める
②少ない生徒数に対応したローコスト経営を徹底する
③生徒の増加が見込める海外へ進出する
④社会人や外国人労働者など、ターゲットを変えた教育機関へ業態を転換する
⑤研究開発の力を活用し、シンクタンク等の事業に進出する
⑥高齢者向けの介護施設など、建物などの現有資産が活用でき、需要増加が見込める業態へ転換する

などの継続経営に向けたビジョンの確立が必要になってきていると思います。誤解を恐れず言えば、現状のままの学校なら、社会はそんなに多くの学校数を必要としないのです。

業界も分からず、勝手なことを大胆に言って申し訳ございませんが、長期的には厳しい現実になると思います。
更に言うなら、既にパンドラの箱は開きました。昔を懐かしんでも時計の針は戻りません。新しい世界へ適応する努力を怠れば、淘汰されるのみでしょう。それは、私企業も学校も変わらない事実と思います。

2007/05/13(日)23:32| URL | てつ #- [ 編集]

学校経営について

いろいろなご意見、大変参考になりた。
ご興味がある方は、是非今月の「学校ビジネス研究会」にご参加下さい。
日時:5/19 pm7:00
会場:TBC受験研究会研修室、JR水道橋駅3分
講師:中央総合学園 主任 下田秀之(中小企業診断士)
報告:私立学校のM&A戦略の実際(専門学校を中心に)
連絡:090-3103-1434(木下)
以上

2007/05/16(水)14:31| URL | 野澤 旭 #- [ 編集]

コメントありがとうございました


>てつ 様

はじめまして、コメントありがとうございました。
あつい思いが感じられました。
M&Aなんてこともよく聞くようになりましたし。学校経営はこれからますます注目すべき領域になるでしょう。これからは選ばれた学校しか残っていきません。
学校教育は日本の将来を左右します。その重みを経営者と共有し進めて行くことが大切ですよね。
「企業診断」の記事を読むまでは、別の領域と思っていましたが、企業経営のノウハウを持つコンサルタントが、学校経営に手腕を発揮することで支援することは私も充分に出来ると思いました。

>野澤先生

コメントありがとうございました。
「学校ビジネス研究会」というのは、「企業診断」に執筆された研究会ですね。
参考になる部分がいろいろとあり勉強になりました。
会合の方は、興味のありそうな人には声をかけてみます。

2007/05/18(金)06:56| URL | 新吉 #- [ 編集]

http://blog.tatsuru.com/2008/01/22_1632.php
「ビジネスマンに大学は経営できるのか?」という題名のエントリです。一読をお勧めします。

2009/01/20(火)17:30| URL | ごんべえ #- [ 編集]

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 新木 啓弘

Author: 新木 啓弘
     (しんき よしひろ)

徳島県出身/東京都在住

株式会社インフォクリエマネジメント 代表取締役

中小企業診断士
ITコーディネータ
ISMS審査員
ターンアラウンドマネージャー(NPO法人金融検定協会認定)

砂にこぼれた雨の滴が
川と流れて海に向くように
人は生きて何を残そうか?
こんな小さな命だけど・・・
  「からっぽのブルース」より

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