知的資産経営報告書の作成手順

前回、知的資産経営について触れました。今回は、「中小企業のための知的資産経営マニュアル」を参照しながら、知的資産経営報告書の作成手順を紹介します。
 以下の4つのステップですすめていきます。

(1)自社の強みを認識する(知的資産の棚卸し)
(2)自社の強みがどのように収益につながるのかをまとめる
  (ストーリー化)
(3)経営の方針を明確にし、管理指標を特定する
  (見える化の技術)
(4)報告書としてまとめる(見せる化の技術)

順を追って、簡単にポイントを書きます。


(1)自社の強みを認識する(知的資産の棚卸し)
 SWOT分析などのツールを利用し、どのような強みが知的資産として蓄積されているのかを明確にします。難しく考えず、自社の有する強みを3つ程度あげるだけでも自社の強みの確認の第一歩となります。
 留意点は、社長が思っている強みと社員が思っている強みは必ずしも一致しない場合があることです。また、社長が弱みと思っていることが周りは強みだと思っていることもあります。

(2)自社の強みがどのように収益につながるのかをまとめる(ストーリー化)
 (1)の分析により「過去~現在」についてのストーリー化をします。強みが洗い出されたところで、今後の経営方針や戦略を考慮しながら、「現在~将来」について、収益を生み出す為の価値創造のストーリーを策定します。必ずしも「過去~現在」との整合性をとる必要はありません。経営方針自体が変わることは問題ではなく、どう変えていくのかを自らの知的資産を利用した価値創造のストーリーとの関係において明確に捉えていくことが重要です。
 もう一つ、財務目標と非財務目標との連携です。知的資産は財務諸表には現れてこないものとはいえ、各ステークホルダーに理解と信頼を得るためには定性面での成長の結果、どのような価値が生み出されるのかといった定量的な目標にも触れておく必要があります。

(3)経営の方針を明確にし、管理指標を特定する(見える化の技術)
 自社の知的資産を活用して将来収益を生み出す価値創造のストーリーに基づいて知的資産経営を実践していくに当たり、感覚的に実践するのではなく、社内の目安となる「内部管理指標」を設定し、これらを管理しながら経営を実践することが重要です。
 ここで登場してくるツールがバランス・スコアカードです。財務目標と非財務目標を連携することが出来ることでも有効なツールと思います。CSF(Critical Success Factors:重要成功要因)、KPI(Key Performance Indicator:プロセス指標)、実行計画の作成という手順でおこないます(CSF、KPIについては、ITコーディネータプロセスガイドラインを紹介した経営とITの融合(3)(4)あたりも参考としてリンクしておきます)。

(4)報告書としてまとめる(見せる化の技術)
 最後に報告書にまとめます。ここでの留意点は、自社の「知って欲しい情報」に偏ってしなわないことです。開示対象先が「知りたい情報」は何なのかという点も考慮しましょう。

 以上となります。
 マニュアルはあくまでもマニュアルです。自分にあった手法にカスタマイズするもよし、完全オリジナルであっても当然OKです。

 知的資産経営は、特別な強みを持った特別な企業が、特別な手法を用いて行うものではなく、小規模ゆえに限られた経営資源しか持たない中小企業こそ実践すべき経営です。

 今後も、国内外の競争がますます激しくなる中で、様々な経営課題に対処しながら、持続的な成長を可能にするためには、企業独自の知的資産を活用して他社との差別化を図っていく必要があるかと思います。

参考文献:「中小企業のための知的資産経営マニュアル」中小企業基盤整備機構

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経営・ビジネス | コメント(0) | トラックバック(0)2007/07/25(水)06:51

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 新木 啓弘

Author: 新木 啓弘
     (しんき よしひろ)

徳島県出身/東京都在住

株式会社インフォクリエマネジメント 代表取締役

中小企業診断士
ITコーディネータ
ISMS審査員
ターンアラウンドマネージャー(NPO法人金融検定協会認定)

砂にこぼれた雨の滴が
川と流れて海に向くように
人は生きて何を残そうか?
こんな小さな命だけど・・・
  「からっぽのブルース」より

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